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ナウマンゾウの化石の発見現場脇で始まった足跡化石の発掘調査=北海道幕別町忠類で2022年10月19日午前11時9分、鈴木斉撮影 拡大
ナウマンゾウの化石の発見現場脇で始まった足跡化石の発掘調査=北海道幕別町忠類で2022年10月19日午前11時9分、鈴木斉撮影

 数十万年前の氷河期に日本列島に生息し、長い牙が特徴のナウマンゾウ――。1969年に国内で初めて、ほぼ1体分の骨格化石が発掘された北海道幕別町忠類地区(旧忠類村)で19日、町教育委員会が新たに調査を始めた。今回は地層を丹念に調べ、生態を知る手がかりとなる「足跡化石」を探す。関係者は「改めてナウマンゾウが地域の宝であることを伝えたい」と意気込んでいる。【鈴木斉】

 ナウマンゾウは氷河期に日本に生息したゾウの一種。大きさは動物園などで見られるアジアゾウよりもやや小型だ。忠類地区で69年7月、農道工事現場で歯の化石が見つかり、70年の本格調査で骨格化石が発掘された。ナウマンゾウの化石が見つかっているのは全国で約200カ所あるが、1頭が「ほぼその場で埋没した形」で発掘されたのは忠類地区だけ。学術的にも貴重な現場とされる。

 足跡化石は「生痕化石」と呼ばれ、骨などのように生物の体そのものでなく、活動したことが分かる痕跡のこと。それらを地層ごと切り出したり、石こうなどで型取りしたりして研究する。調査を主導する町教委の添田雄二学芸員(49)は「生痕化石から当時の動物の様子が把握できる。それに連続した足跡化石が見つかれば、どのように歩いていたかなど、ナウマンゾウの生態をつかむきっかけになる」と期待する。

 69、70年に大掛かりな発掘調査は実施されたが、その後の調査でも発見があった。2008年の現地の地質調査で足跡とみられる多数のくぼみが見つかり、特に大きな2個がナウマンゾウとシカ類の足跡と確認されて道内初の足跡化石に認められた。発掘50周年の記念事業として19年に今回の調査は始まり、22年で4年目になる。

 これまで型取りした足跡化石の分析は、専門グループの滋賀県足跡化石研究会(同県栗東市)に委託。ただし、忠類地区の足跡化石は洪水とみられる流水の影響などで、くぼみに小石などが入り込み、形状が変わって動物の特定が難しいケースも多いという。関係者は「保存状態のよい足跡化石を見つけられたら」と言う。

 19日の調査は研究者ら6人が参加。21年の発掘場所の土砂などを取り除き、作業に入った。初参加した足跡化石研究会の岡村喜明代表(83)は「骨と足跡の化石が両方とも発掘された現場は国内で珍しい。当時の『動物の世界』にどこまで迫れるか。よい発掘にしたい」と話した。

見学ツアーも

 調査は23日までの5日間で集中的に行う予定。地元の中学生も加わるほか、22、23日に一般市民対象の見学ツアーも初めて実施される。添田学芸員は「半世紀を経て、忠類地区で見つかった化石の研究価値は高まっている。多くの発掘現場は土地造成などで失われる。誰もが目の前で発掘調査を見ることができる忠類の現場の貴重さを知ってほしい」と述べた。

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